ジブリ映画の名作として知られる「耳をすませば」。
元々は少女まんが雑誌『りぼん』にて連載されいた、柊あおいさんのマンガが原作だというのはご存じでしょうか?
そんな「耳をすませば」ですが、2022年に清野菜名さんと松坂桃李さんのW主演で実写映画が公開。
多くの人から愛される「耳をすませば」の10年後を描いた、完全オリジナルストーリーということで話題になりました。
しかし、本作における主人公の天沢聖司のある設定について、多くのファンがざわついたのです。
それは、天沢聖司がチェロ奏者志望になっていたことです。
最も有名なジブリ映画での「耳をすませば」の聖司は、バイオリン職人志望であったため、映画を見て違和感を感じた方も多かったようです。
そこで今回は、
- 耳をすませば(実写映画)で聖司の夢がチェロ奏者に変わったのはなぜ?
その理由について考察していきます。
実写版の聖司がチェロ奏者に変わった理由
マエストロでバイオリン、蜜蜂と遠雷でピアノ、耳をすませばでチェロ。桃李さんの品と手の美しさには楽器がよく似合う。#松坂桃李 pic.twitter.com/cJYzvXE7ZS
— しろねろ (@shironero36) August 27, 2022
天沢聖司がチェロ奏者となり、ジブリ映画版とは大きく設定が異なった実写版「耳をすませば」。
その設定変更の背景には、どうやら大人の事情が関係していそうです。
2022年10月15日TBS系番組『王様のブランチ』にて、天沢聖司を演じた松坂桃李さんは次のように語っていました。
「(天沢聖司の設定を)チェロ(奏者)でいきますってのが、クランクイン1ヶ月前に決まったんで」
なんと、天沢聖司の設定をチェロ奏者に変更したのは、クランクインのわずか1ヶ月前だったとのこと。
突然すぎる設定変更に、松坂さんは朝起きた後と夜寝る前にチェロの猛特訓を行ったそうです。
また、松坂さんはこのようにも語っていました。
「そっち(ヴァイオリン)やらせてくれよと思ったんですけど、そっちだと監督が納得いかなかったんでしょうね」
どうやら松坂さん本人も、天沢聖司を演じるならバイオリン職人、またはバイオリン奏者設定を希望していたようです。
「天沢聖司=バイオリン」といイメージが、松坂さんの頭の中にもあったと推察できます。
そんな、松坂さんの希望やジブリ映画の設定を無視してまで、チェロ奏者設定を押し通したのは、一体なぜのでしょうか?
それついて、最も信憑性が高そうな理由を3つご紹介します。
松坂桃李が別作品でバイオリン奏者役を演じたから
【JAPANESE】松坂桃李、官兵衛Jr.から “耳すま”天沢聖司に!ヴァイオリニスト姿一挙公開『マエストロ!』http://t.co/3zwZrEv2cX #松坂桃李 pic.twitter.com/IlmwdMEZ8Y
— シネマカフェ/cinemacafe.net (@cinema_cafe) December 31, 2014
まず1つめの理由が、松坂桃李さんが過去にバイオリン奏者役を演じたからです。
これはあくまで、松坂さんの推察に過ぎませんが、主演を演じた松坂さんの考えであるからこそ、信憑性が高いのではないでしょうか。
松坂さんは、『王様のブランチ』に出演したとき、次のようなことも話していました。
「僕が違う作品でヴァイオリンをやった事があったんもんで、『じゃあヴァイオリンはやめよう』みたいな…。っていうのも多分あったと」
松坂さんは、過去に出演したマンガ原作映画『マエストロ!』でバイオリン奏者の主人公・香坂真一役を演じ、見事なバイオリン演奏を披露しています。
その関係で、おそらく『マエストロ!』の時の松坂さんが演じた役のイメージが、「耳をすませば」の作品に影響を及ぼすとプロデューサーや監督は判断したのではないでしょうか。
確かに、松坂桃李さんがバイオリンを弾いているところを見ると、「天沢聖司」というよりは「香坂真一」と思ってしまうファンの方も、少なからずいらっしゃるかもしれませんね。
本編中の松坂さんを、しっかり「天沢聖司」として捉えていただくには、やむを得ない変更だったと考えられます。
ちなみに松坂桃李さんは、過去の出演作の中で、ピアノやギター、ベース、ドラムなど数多くの楽器を演奏しています。
こんなにたくさんの楽器がマスターできるなんて、すごいですよね!
楽器演奏を短期間で習得するのは、音楽的センスや器用さが求められます。
松坂さんはそのどちらも兼ね備えた、素晴らしい俳優さんであることが改めて分かりますね。
バイオリン職人はジブリのオリジナルの設定だから
実写『耳をすませば』のポスター、なかなか良いじゃんと思ったらタイトル通りちゃんと耳をすませていてダ、ダサ…ってなった。 pic.twitter.com/GUQsBstEFE
— もつれら (@mtmtsf) April 13, 2022
2つめの理由が、そのそもバイオリン職人志望という設定が、ジブリのオリジナル設定だからということです。
これは本作のプロデューサーがオンライン映画雑誌「スクリーン」でのインタビュー上で語っているため、こちらも信憑性が高い理由の一つと言えます。
実は、原作「耳をすませば」での天沢聖司は、バイオリン職人志望ではなく画家志望だったのです。
原作を知らない方からすると、ちょっと驚きですよね。
プロデューサーはジブリ映画の方ではなく、原作にならって画家志望の設定を採用しようとしたそうです。
しかし、実写映画では絵を描くことの楽しさを伝えにくいという監督の意見から、音楽へと舵を切ったとのこと。
けれどもバイオリン職人志望という設定は、ジブリのオリジナル設定であるということから、断念したそうです。
おそらく、権利の問題で、ジブリ映画の設定を引き継ぐことができなかったことが考えられます。
松坂桃李がチェロのイメージに合うから
3つめの理由は、松坂桃李さんがチェロのイメージに合うからというもの。
こちらも、本作のプロデューサーが「スクリーン」のインタビューで話していました。
プロデューサーは次のように語っています。
「じゃあ、ヴァイオリン奏者にしますか」と話している時に「松坂桃李がチェロケースを背負って、イタリアの街並みを歩いていたらカッコいいんじゃないか」という話になり、柊先生に確認をしたところ、無事OKをいただきました。
バイオリン職人志望という設定が使えなかったため、バイオリン奏者という設定にしようとしていたようです。
しかし、松坂桃李さんがチェロケースを背負って、イタリアの街並を歩いているイメージがカッコイイという話になったとのこと。
確かに、チェロケースを背負ってイタリアを歩く松坂さん、想像するだけで素敵でワクワクしますよね。
このことから、天沢聖司はチェロ奏者という設定に変更になりました。
まとめ
『耳をすませば』雫と聖司が歩いたイタリアの街を巡る360度映像を解禁! 松坂桃李が仲間と「翼をください」をセッションするメイキング映像もhttps://t.co/Qj8gJg2pPo#耳をすませば #耳すま #清野菜名 #松坂桃李 pic.twitter.com/1nA5XKnQ4F
— ムービーコア (@movie_core2014) October 13, 2022
実写版「耳をすませば」の天沢聖司の設定がチェロ奏者に変わった理由とされるのが、次の3つであることが分かりました。
- 松坂桃李さんが別作品でバイオリン奏者役を演じたから
- バイオリン職人はジブリのオリジナル設定だから
- 松坂桃李さんがチェロのイメージに合うから
天沢聖司の設定が変わったのは、どうやら様々な大人の事情が絡んでいるようです。
とはいえ、昔からジブリ映画で「天沢聖司=バイオリン職人」というイメージが着いてしまっているので、ジブリファンからすると少し淋しい設定変更でしたね。
今回の設定変更の裏話を踏まえたうえで、ぜひ実写版「耳をすませば」を楽しんでみてくださいね。