ジブリ映画『千と千尋の神隠し』に登場するカオナシは、最初こそ大人しかったものの、変貌ぶりに驚きます。
千を手に入れるために、あの手この手で千の気を引こうとしていましたね。
そこで今回は、
- カオナシはなぜ千を欲しがる?
- カオナシは何がしたかった?
- カオナシは何者?
ということについて考察していきたいと思います。
ネタバレを含みますのでご注意ください。
カオナシはなぜ千を欲しがる?
カオナシ「・・・・・」
— 平和への道@彡トシピコ彡 (@toshipiko1) August 16, 2023
ゴ・メ・ン・ヨ・・・
殺意では
国を守れない、
人々を守れない、
自分さえ守れない。#魔法・魔道・洗脳#殺意では統治できない#天の理法を悟る
pic.千と千尋の神隠し pic.twitter.com/iZOlq0YxL9
『千欲しい』とまるでストーカーのごとく千を追い回していたカオナシ。
なぜそこまで千のことを欲しがるのか、理由を考察してみたいと思います。
千が優しくしてくれたから
公開当時は劇場で見た千と千尋の神隠し。
— 藤井美穂 俳優/プラスサイズモデル Miho Fuji (@mihoimiofficial) September 14, 2020
当時は千尋と同い年。
当時は怖い気持ちばかりが先行してよくわからなかったけど、本当に名作。
今見ると千尋は他人を思いやれる余裕が物凄くある10歳児で、アラサーの私でもこの心の広さは持てるかな‥と考えてしまった。
千尋、懐デカイし優しい。 pic.twitter.com/rPl3rHTel4
ポイントとなるシーンは、湯屋に『お腐れ様』が訪れる直前のことでした。
仕事をしていた千は雨が降っている中、中庭にたたずむカオナシを見つけます。
すると千は、
『そこ濡れませんか?ここ開けときますね』と声をかけ、カオナシが中に入れるようにしてくれたのです。
千は湯屋に来て間もないため、カオナシのことを知らずに声をかけたのでした。
カオナシの気持ちを考察してみると、千に声をかけてもらったことがかなり嬉しかったのではと考えられます。
その理由は、カオナシは今ふうに言うと極度のコミュ障で誰とも深く関わっていないと思われるからです。
近年、ネット上などでよく見かける『コミュ障』とは『コミュニケーション障害』のこと。
コミュ障の特徴としては、
- 極度の人見知り
- 遠慮しがちで自分の意見が言えない
- 空気を読まない発言
- 自分の話しばかりしてしまう
元々カオナシは自分から言葉を発することがなく、誰からも話しかけられません。
千は他と区別することなく優しい気遣いをしてくれたので、カオナシは嬉しかったと考察できます。
カオナシは何がしたかった?
カオナシ「・・・・」
— 平和への道@彡トシピコ彡 (@toshipiko1) August 18, 2023
何・で・も・合・法・的・に・pic.twitter.com/C3KBYqjaxE
カオナシは番台から薬湯の札を千に渡したり、砂金を渡そうとしたりしていました。
千が必要だった薬湯の札をたくさん持ってきたカオナシでしたが、千が『こんなにいらない』というとシュンとした様子で姿を消してしまったのです。
カオナシは千と仲良くなりたかった
気付いた時ゾッとしました。興行収入306億円"千と千尋の神隠し"に出てくるカオナシの正体は◯◯。
— なさ@克服の天才 (@nasa3connect) November 24, 2020
・自分の言葉を持たない
・他人の言葉で話す
・金ですべて得られると勘違い
・欲望をコントロールできない
・己の醜さを自覚させられると逆ギレ
・ロリコン
ここまで露骨な社会批判アニメも珍しいです😱 pic.twitter.com/OuvO0y5usR
優しくしてもらって嬉しかったカオナシは、千に喜んでほしくて札を出したり砂金を出したりしていました。
カオナシのそういった行動理由としては、
千に自分のことを好きになって欲しいから、物で釣るという心理がうかがえます。
恋愛の駆け引きのように思えてきますね。
『自分のことを好きになってもらうために物をプレゼントする』ということは、すでに対等でなくなっていて、その行動により自分に関心が向いても『~をくれる人』と認識されています。
しかし、カオナシは冷静に自分の行動を分析するというタイプではないでしょう。
千は必要のない物は『いらない』とはっきり言い、カオナシはその返答に『拒絶』を感じ、ショックを隠し切れずに暴れてしまいます。
一方的なストーカーも同じような行動心理だと思うので、そのような行動をとられたという心当たりがある方は十分にご注意下さい。
カオナシを救ったのは千
カオナシがケーキ食べる所可愛くて癒される pic.twitter.com/lOR1ZkzMWT
— イエス・キリスト (@yeskiri) August 16, 2019
湯屋で散々暴れ尽くし、何人も飲み込んだカオナシでしたが、千はそんなカオナシを見捨てませんでした。
千が『お腐れ様』から頂いたお団子を食べ、カオナシは徐々に元の姿に戻っていくのです。
おそらくカオナシは今までで一番激しい自己主張をしたのではないでしょうか。
そして、
千は銭婆のところへカオナシも連れて行き、最後は銭婆に『アンタはここで私の手助けをしておくれ』と言われたのです。
カオナシは自分の存在を必要とされたかったので、ようやく自分の居場所を見つけました。
恐ろしくもあったカオナシですが、自分の居場所や自分を認めて欲しいという少し寂しい願望が感じ取れました。
そういった願望は人間誰しもが少なからずは持っていると思うので、誰の心にもカオナシはいるのかもしれません。
カオナシは何者?
気持ちをあまり口に出さない人は、千と千尋の「カオナシ」と今日から命名してあげてください。口に出さないとわからんわってね。ちなみに、私も「カオナシ」タイプ。気をつけます。母にさえ、「何考えてんだかわかんない!😠」って言わせたことがあります。「カオナシ」と命名されないようにね pic.twitter.com/t82jxLdRNL
— まき@SNSマーケティング🔰 (@Maki24281) September 26, 2021
カオナシについての公式見解
カオナシは一体何者なのか、スタジオジブリは詳しいことを明らかにしていません。
宮崎駿監督は、『カオナシなんて周りにいっぱいいますよ』『魔物と神様は紙一重ですから』と話していて、どんな人間の心にもカオナシは潜んでいることを示唆しました。
また、『千と千尋の神隠し』を見た人たちから、『カオナシは現代の若者を表してる?』という意見がチラホラ聞こえてきました。
しかし、それについて宮崎駿監督はハッキリ否定しています。
カオナシは人間の欲望
お弁当の箸忘れた、
— ろき (@rok__ghibli) April 25, 2023
カオナシスタイルで食べるしかないのか、、 pic.twitter.com/iRehEdTFkL
物で人を釣ろうとしたり、限度なく食べ続けるところは、人間の醜い欲望そのままではないでしょうか。
また、カオナシが金を出すのは、金に群がっていた人々を見たからです。
そういった人間の醜い行動や願望の具現化がカオナシだと考えられます。
大人になってカオナシについて考えてみると、誰かとつながっていたい願望や承認欲求など現代の社会問題につながるものを感じますね。
私たち人間は、他人の気持ちや物事を深く考えられる思考力を鍛えていかなければならないのだと思います。
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まとめ
#ジブリ映画の好きなシーン
— 安酉鵺 (@AtoriNuE) September 12, 2019
千と千尋の神隠し、腐れ神が川の主様になって飛び去った後、事態を見ていた神様達が踊り出すシーンで、おしら様(盃かぶった大根みたいな神様)が扇持って踊ってる所。その後も何かと優しい pic.twitter.com/tqyYGzrMm2
カオナシがなぜ千を欲しがるのか、カオナシは何者なのか考察してきました。
結論とすると、
- カオナシが千を欲しがったのは千が優しくしてくれたから
- カオナシは千と仲良くなりたかった
- カオナシは人間の欲望が具現化した姿
だと考えられました。
宮崎駿監督の『カオナシなんて周りにいっぱいいますよ』という発言にはドキッとしてしまいますね。
カオナシの正体について考えてみたところで、あらためて『千と千尋の神隠し』をご覧になってみてはいかがでしょうか。